Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2019.07 退職の申出に関する法律
東京五輪の影響もあって、人手不足が深刻です。また、従業員を採用しても、なかなか定着してくれません。マスコミでは、「退職代行業」の話題がでています。
そこで、わが社では、就業規則を「退職願いは3カ月前に提出する事」と変更しようと考えています。法律上、問題がありますか。
また、上記就業規則に違反した場合、退職金を減額できますか。
民法627条、628条、労働基準法附則137条等に該当し、就業規則の効力が否定される可能性が大きいと考えます。
1 従業員の側からの「退職の申し出」について
(1) 雇用契約に期間の定めの無い場合
労働契約法には、特別の規定がありません。民法が適用されます。
民法627条は、従業員が退職の意思表示をしてから2週間経過した時点で労働契約は効力を失います。民法の規定は、従業員の解約の自由を保障しようとしたものだからです。
民法627条の趣旨からすれば、就業規則で民法の規定に反する予告期間を定めても、無効となると解されます。
(2) 雇用契約に期間の定めのある場合
民法628条、労働基準法附則137条等が、適用される事案です。
上記条文からすると、従業員の側に「止むを得ない事由」があれば、「直ちに契約の解除をすること」が認められます。右事由が無い場合であっても、契約期間が1年を超えている場合、一定の事業の完了に必要な期間を除き、「何時でも退職する事ができる」事になります。
2 就業規則に違反した場合の退職金減額の是非
退職金減額は従業員に対する制裁となりますが、上記1で説明した通り、就業規則の有効性に問題があります。従って、退職金減額の就業規則は、合理性を欠くものものとして、違法無効となると解されます(労働契約法7条)。