Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2020.07 「ながら運転」での交通事故
カーナビを操作しながら運転していたところ、パトカーに見つかり、「ながら運転」として道路交通法違反で反則金1万8000円を支払うことになりました。高額な反則金に驚いていたところ、警察官に「交通事故を起こしていたら、反則金では済まなかった」と言われました。もし、「ながら運転」で交通事故を起こしたら、どうなるんですか?
運転中に、携帯電話等を持っての通話やスマートフォンやカーナビ等の画像を注視する「ながら運転」により交通事故を発生させた場合、反則金の適用はなく全て刑事罰の対象となり、裁判によって「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」の罰則が科されることになります。
また行政処分では、違反点数が「6点」となるため、即【免許停止】処分となります。
なお、被害者のある物損事故や人身事故が発生した場合、被害者またはその遺族から、損害賠償を請求されることになります。
「ながら運転」には、運転中に、携帯電話やスマートフォンを持っての通話やスマートフォンの画面を注視しながら操作する「ながらスマホ」だけでなく、カーナビゲーション装置やカーテレビ等に表示された画像を見続けながら運転するものも含まれ、近年では「カーナビ等の注視」を起因とする交通事故も多発しています。
このながら運転による交通事故が増加傾向であることに対して、令和元年12月1日に施行された道路交通法の改正では、ながら運転への罰則が強化されました。
① 携帯電話の使用等(保持) ※ 「ながら運転をした」場合。
罰則 6月以下の懲役又は、10万円以下の罰金
反則金 普通車の場合 18,000円 大型車25,000円
違反点数 3点
② 携帯電話の使用等(交通の危険) ※ 「ながら運転により、交通事故を発生させた」場合
罰則 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
反則金 非反則行為となり、すべて刑事罰の対象となるため、反則金の適用はなし
違反点数 6点 【免許停止】
また、「酒気帯び状態」でながら運転をした場合、交通事故を起こしていない場合でも違反点数が15点となるため、1回で【免許取り消し】となります。
自転車についても、スマートフォン等を使用しながら運転することは道路交通法で禁止されており、違反した場合には「5万円以下の罰金」が科せられることがあります。
なお、自動車や自転車だけでなく歩行者であっても、「ながらスマホ」等により、被害者に怪我を負わせたり、死亡事故につながったりした場合、刑事裁判で「重過失傷害罪」などに問われることになります。
そして、物損事故や人身事故で被害者に損害を発生させた場合、被害者や遺族より、車の修理費用や怪我の治療費、得られたはずの逸失利益、慰謝料など、民事事件として高額な損害賠償を請求されることになります。
ながら運転は、さながら「目隠しをして運転しているようなもの」だと言います。スマートフォンやカーナビ等を操作する際には、必ず安全な場所に停車してから行いましょう。