「ハンコの役割」
1 書面に「ハンコ」を押印する理由は,「ハンコ」の所持者が当該書面を作成したことを証明する点にあります。「ハンコ」が認め印・三文判の場合,押印者以外の人間が同一の「ハンコ」を調達可能なので,証明手段して不十分です。そこで,重要な取引においては,押印者のみが押印可能であることを明らかにするために,印影が登録されている実印・代表印を使用することになります。昨今「ハンコ」不要論が高まっていますが,印鑑登録制度の信用性が高いため,実印・代表印の役割は当面失われないと思います。
2 一方,ITの進歩は早く,現在,契約内容・契約当事者を証明するIT上の手法が増えています。法整備も進んでいます。いずれ,印鑑登録制度に代わるIT上の契約証明制度が定着すると思います。紙から電子に手続きを刷新するには一定の手間が生じます。経営者の皆様においては,多数派が制度移行する時期を見極めつつ,余裕のある時期に円滑に制度移行されることを提案致します。
プロフィール
砂山 雅人SUNAYAMA Masato
- 弁護士