Q & A
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2024.11 災害時の納税期限の延長等
能登半島での地震や水害をはじめ、近頃日本で災害が頻発しています。もし災害によって被害を受けた場合には、納税期限の延長等の措置はありますか?
災害によって被害を受けた場合、税制上の特別措置として、申告・納税期限の延長や、納税の猶予に関する特例等が適用されることがあります。
災害によって被害を受けた場合には、申告・納付などの期限の延長や、納税の猶予などの税制上の特例措置が設けられています。
(1)申告・納付などの「期限の延長」
災害により被害を受けた場合、その理由がやんだ日から2か月以内に限り、国税に関する申告や納付等の期限延長が認められています。具体的には、①地域指定、②対象者指定、③個別指定の3つの期限延長があります。
※①及び②は納税者からの申請は不要ですが、③は申請が必要です。
①地域指定による期限延長
災害等の納税者の責めに帰さない事実により、申告・納付等をすることができない者が、都道府県の全部または一部の地域にわたり広範囲に生じたと認められる場合に、国税庁長官が、地域および期日を指定して、その申告・納付等の期限を延長するものです。
②対象者指定による期限延長
申告等に用いる国税庁の運用するシステムが、申告・納付等の期限間際に使用不能であるなどの納税者の責めに帰さない事実により、申告・納付等を行えない者が多数に上る場合に、国税庁長官が、その対象者の範囲および期日を指定して、申告・納付等の期限を延長するものです。
③個別指定による期限延長
災害その他やむを得ない理由によって、期限までに申告・納付等ができないときは、納税地の所轄税務署長に申請することにより、その理由のやんだ日から2か月以内に限り、申告・納付等の期限が延長されます。
(2)災害を受けたときの「納税の猶予」
災害により損失を受けた場合には、一定の国税について納税の猶予を受けることができます。この制度は、大まかに以下の①及び②に分けられます。
①災害により相当な損失を受けた場合(損失を受けた日に納期限が到来していないもの)
災害により全積極財産のおおむね20パーセント以上の損失を受けた場合には、災害のやんだ日から2か月以内に「納税の猶予申請書」を提出することで、以下のように納税の猶予を受けることができます。
*損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税
→納期限から1年以内まで猶予
*所得税の予定納税や法人税・地方法人税・消費税の中間申告分
→確定申告書の提出期限まで猶予
②災害等を受けたことにより納付が困難な場合(既に納期限の到来しているもの)
災害その他やむを得ない理由に基づき、国税を一時に納付することができないと認められる場合には、税務署長に申請をすることにより、原則1年以内の納税の猶予を受けることができます。
なお、この納税の猶予を受けるためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要です(猶予金額が100万円以下、猶予期間が3か月以内または特別の事情がある場合は不要)。