税金の世界史
ドミニク・フリスビー著「税金の世界史」から注目する意見をまとめてみた。
「税は文明社会の対価である」とは、アメリカ内国歳入庁の入り口に刻まれている有名な言葉である。古代より、文明には税がつきものだった。また、歴史上の革命や反乱の多くは重税への不満を原因にしていた。偉大な文明の誕生は低い税負担と小さな政府を、その没落は高い税率と大きな政府を伴う。
現在の税法は国境がはっきりした時代に定められた、アナログ時代の税法である。テクノロジーの進歩による社会の著しい変化に、今の税のしくみが追いついていない。形のないデジタル世界に、公正に課税する方法を生み出さないかぎり、大きな政府の社会民主モデルはうまくいかないだろう。大きな政府のモデルが生き残れるほどの税収は国境を越えて離れてしまい、必要量が確保できなくなる。国境のないデジタル世界に公平に課税する方法を見つけなければ、課税の不公平に人々の猛反発を招く。大きな政府と小さな政府、権威主義と自由主義、古い企業慣行と新しい科学技術、税の種類の追加と削減。これら二者間のイデオロギー的闘争はこれからも続くはずである。どちらの側も自分から引くことはない。だが、「国民の税負担が小さい国、税制が公平でわかりやすい国は生き残る。国民の税負担が小さいほど——従って、国民がのびのびとしているほど——それだけたくさん新発明や新機軸が生まれ、富が増えることになる。これまでの歴史ではずっとそうだった。これからもずっとそうだろう」という。
プロフィール
髙野 裕TAKANO Hiroki
- 税理士
- 中小企業診断士
- ITコーディネーター