虎に翼をつけてはいけない
※令和6年9月作成原稿
NHKの朝の連続テレビ小説で放映中の「虎に翼」が、9月で放送が終わります。主人公が、新潟家庭裁判所の所長を務めた三渕嘉子さんがモデルということで、それに因んでか、新潟地方裁判所・新潟家庭裁判所三条支部の支部長となり、新潟県に異動してくるというストーリーがありました。弥彦神社の一角でロケが行われていましたが、「ここは三条じゃねぇ」と内心突っ込んだり、高橋克実さん演じる杉田太郎弁護士の新潟弁がお上手で、「さすがネェテブらな」と思ったりしました。
主人公の人となりは、雄弁活発理路整然ですが、やや柔軟性に欠けて他人の領域に遠慮なく踏み込むところがあり、視聴者には親しみ難いキャラクターかもしれません。寅子という名前から、彼女が「虎」かもと思いがちです。
ですが、タイトルの「虎に翼」は古代中国の「周書」に「虎に翼をつけることなかれ」、つまり強いものを更に強くしては危険だからいけない、という言葉が由来です。この文章を起案している現在、NHK からタイトルの変更はありません。しかし、主人公の職場である裁判所が人権最後の砦であり、主人公が「国家という虎に翼をつけさせない」という立憲主義(憲法に基づく法の支配)の志を述べて終わるのでは、と予想しています。
プロフィール
星野 徹HOSHINO Toru
- 弁護士