金利ある世界の到来
経済の指標といえる日経平均株価は、昨年4月11日4万2224円を付け終値として初めて史上最高値を更新し、現在でも4万円前後を往き来している。約10年前2万円を突破した日経平均は10年で2倍になったことになる。 日本経済の回復を背景に、日銀は今年の1月24日に、これまで0.25%としてきた短期金利の誘導目標を0.5%に引き上げた。金利0.5%は2008年以来17年ぶりの水準となる。 マクロ的に見れば、日本経済はデフレから脱却し、金利ある世界が到来し、インフレが定着しつつあるということになる。
エコノミストは言う。生産性が上昇し、賃金が上がり、消費需要が増加し、物価が引き上げられ、企業の売上及び利益が増加するという景気循環が発生し、経済は拡大し、景気は良くなる。
しかし、景気は本当に回復し良くなっていくのだろうか。少なくとも、中小企業は、生産性の向上に苦しみ、最低賃金の急激な上昇による賃金上昇、円安に伴う材料費の上昇に苦しんでいる。 価格転嫁力のある大企業は別として、中小企業にとって今のインフレは、悪いインフレにしか見えないような気がする。大企業を代表する経団連のトップが、今年は中小企業の賃上げ率6%以上を目指すと言っているが、何か違和感を禁じ得ない。
プロフィール

丸山 克巳MARUYAMA Katsumi
- 公認会計士
- 丸山公認会計士事務所 所長