Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2017.01 未成年者の契約
子供(A・18歳)が大学に進学し上京しました。A名義で、アパート契約、その他いろいろな契約ができますか。未成年者の契約について、法律ではどうっていますか?教えてください。
未成年者の契約は、取り消される事がありますので、注意が必要です。
1.原則~契約は「取り消せる」
(1)現在、民法では、20歳以上が成年とされ(民法4条)、未成年者は、単独で有効に契約を締結する事は出来ません。未成年者は「制限行為能力者」と言われます。未成年者は、法定代理人(通常は父母)の同意を得なければ単独で有効に契約をすることは、出来ないのです(5条1項)。
(2)原則として、未成年者が法定代理人の同意を得ないで契約した場合、後日「取り消し」が出来ます。その契約を取り消すことで、判断能力の劣る「制限行為能力者」の財産を守る様に規定されているのです(5条2項)。
2.例外~契約を取り消されない場合
(1)未成年者の契約が、常に、「取り消される」のであれば、未成年者と契約する人は、躊躇するようになります。結果として、未成年者が社会生活をする上で、不都合・不便となってしまいます。
(2)そこで、例外として、未成年者の保護が欠ける事の無い場合、「取り消しが出来ない行為」を定めています。
(3)その例の一つとして、「自由財産の処分」があります。
法定代理人が、処分を許した財産に関する契約です。
教科書には「親から貰ったお小遣いで買った文具」は、取り消しが出来ない等と例が挙げられています。
3.今回の事例
(1)A・18歳が、A名義でアパート契約ができるでしょうか。
(2)ケースバイケースですが、大学進学となれば、ある程度の生活費を送金しているでしょう。「ある程度の生活費」は、親権者がAに「処分を許した財産」と言えます。仕送りの額に応じた「相当額の賃料」であれば、A名義でのアパート契約も、法的に有効と言えるでしょう。例えば、送金が月額10万円で、15円もする賃貸マンションの契約は、「取り消される」でしょう。
(3)他の契約も、仕送りの額に応じた「相当額の契約」であれば、A名義での契約も、法的に有効と言えるでしょう。
4.今日の問題
(1)現在、クレジットカードを使って、色々な電子商取引ができます。その際、未成年者が親権者のカードを使用するなど、難しい問題が発生しています。
(2)また、民法とは別個に、平成28年6月19日から選挙年齢が「18歳以上」となりました。その影響で、民法の未成年者の年齢の引き下げの法案が国会に提出されるとの事です。