Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2018.10 残業時間の上限規制
働き方改革に関する法律の成立で、残業時間に規制が設けられると聞きました。具体的な内容を教えてください。
残業時間の上限については、従来の月45時間、年360時間を原則とする規制に加え、臨時的な事情がある場合でも単月100時間未満、複数月平均80時間、年720時間を限度とする規制が新たに設けられました。
労働基準法では、1日8時間、1週40時間の労働時間・休日日数を定めていますが、同法36条の規定により時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36協定」)を締結し、労働基準監督署長に届け出ることで、時間外労働・休日労働を認めています。
この場合の上限については、原則として月45時間、年360時間が上限とされてきましたが、臨時的な特別な事情、例えば、予算、決算業務で一時的に業務量が増大するなどの事情がある場合には、特別条項を設けて、年6か月まで原則を超える時間外労働時間を設定することが可能となっていました。
今回、労働基準法の改正によりこの取り扱いが見直され、特別条項を設けた場合の法律による上限が明記されました。
具体的には、時間外労働の上限は年720時間とされ、さらに次の要件を満たすことが必要となりました。
1つ目は、時間外労働時間の複数月(2・3・4・5・6か月)の平均が、いずれにおいても80時間以内(休日労働を含む)であること。2つ目は1か月の時間外労働時間が100時間未満(休日労働を含む)であること。3つ目は時間外労働時間が月45時間を超えることができるのは年6回が上限となることです。
中小企業の場合、この改正は2020年4月から施行されます。施行前に自社の36協定の締結状況、内容を確認し、正しく届出を行いましょう。