Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2021.08 インボイス制度の登録申請手続きが始まります
当社は卸売業を営む消費税の課税事業者です。
2023年の10月からインボイス制度というものが開始されると聞きましたが、何か事前準備が必要でしょうか。また、現行の制度と何が変わるのでしょうか。
適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の事前準備として2021年10月1日から適格請求書発行事業者になるための登録申請手続きが開始されます。
また、インボイス制度の導入による変更点として、仕入税額控除ができなくなる場合があります。
課税事業者は原則2021年10月1日~2023年3月31日までの期間に登録申請書を所轄税務署に提出して頂き適格請求書発行事業者となる必要があります。
適格請求書発行事業者になると、適格請求書を交付する義務と、交付した適格請求書のコピーを保存する義務が発生します。
適格請求書とは、現行の請求書の記載内容に加え、【】内の項目を追加したものを言います。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称+【登録番号】
②取引年月日
③取引内容(軽減税率対応品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み又は税抜き)+【適用税率】
⑤【税率ごとに区分した消費税額等】
⑥書面の交付を受ける事業者の氏名又は名称(※1)
また、インボイス制度の導入で、仕入税額控除ができなくなる場合があります。
現行の消費税制度では、請求書の保存などの要件を満たすことで、原則的には、下記の算式で納付する消費税額を計算します。
『売上に係る消費税―仕入等に係る消費税=納付する消費税額』この仕入等に係る消費税を差し引くことを仕入税額控除と言います。
しかし、インボイス制度が導入されると、適格請求書の保存などが仕入税額控除の要件となります。
したがって、下記のような適格請求書を発行することができない者
・適格請求書発行事業者の登録申請をしていない者(※2)
・免税事業者(※2)
・一般消費者(※2)等から仕入等を行った場合、これまでとは異なり、原則、仕入税額控除ができません(※3)
(※1)不特定多数の者に対して販売を行う小売業、飲食業、タクシー業等は⑥を省略することが可能です。
(※2)免税事業者等からの仕入に係る経過措置として一定期間、一定割合で仕入税額控除が認められています。2023年10月1日~2028年9月30日までの取引➡仕入税額相当の80%を控除2028年10月1日~2031年9月30日までの取引➡仕入税額相当の50%を控除
(※3)なお、適格請求書の交付が免除されている者からの仕入等や、古物営業・質屋・宅地建物取引業を営む者が行う仕入、従業員に支給する出張費、日当、通勤手当等はこれまで通り、適格請求書が無くても仕入税額控除が認められています。