Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
ぜひ日頃の経営問題の解決にお役立て下さい。
2024.05 定額減税制度とは?具体的にどうしたらよい?
会社の経理担当です。定額減税という制度が始まるみたいですが、どのような制度でしょうか?
何か準備をしなければならないことはありますでしょうか?
年収2,000万円以下の方の所得税と住民税が定額で減額される制度となっております。
扶養の人数に応じて減額金額が変わるため扶養人数の把握などの準備が必要となります。
定額減税の概要は次のとおりとなります。
所得税と住民税の制度の違いとしては主に減税額(税金が減少する金額)の計算式が異なります。
所得税を用いて概要説明をさせていただきます。
1 対象者
定額減税の対象者となる方は、お給料のみで年収2,000万円以下の所得者が対象となります。
国税庁では、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が
1,805 万円以下(お給料のみで計算される年収2000万円以下の所得者)と定義されています。
2 定額減税額の計算式
定額減税額は家族構成によって異なり、学生の扶養親族が多いご家庭では、減税額が増加します。
ただし、減税額の上限があります。お給料から引かれる源泉所得税額が上限となっています。
控除しきれなかった金額は事前給付または年末調整を経て給付されます。
※ 控除しきれなかった金額が1万円未満の場合は給付額が1万円となります。
計算方法は、次の通り計算されています。
本人 + 配偶者(年収103万円以下のお勤めの方)及び扶養親族(学生の扶養親族)
所得税: 30,000円 + (30,000円×(配偶者及び扶養人数の合計数) = 定額減税額
住民税: 10,000円 + (10,000円×(配偶者及び扶養人数の合計数) = 定額減税額
*扶養親族には16歳未満の方も対象となるため記載忘れにご注意ください。
3 減税方法
減税方法は、毎月給料計算の際に計算された源泉所得税額から減税額を控除します。
控除されなかった残りの減税額がある場合、残額は翌月の給料計算の際に使用します。
年末調整時に最終計算が行われます。
4 補足情報
医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税)、住宅借入金控除(住宅ローン控除)等への影響はありません。
5 事務処理について(*経理担当者へのご案内)
まず、年末調整で提出された扶養控除申告書の扶養者に変更がないか所得者に確認が必要です。
扶養者に変更がある場合に、令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼
年末調整に係る定額減税のための申告書の提出が必要です。
減税方法については、多くの方が初月で控除しきれないと想定されること、各個人ごとに個別管理が必要となります。
大きな事務負担が生じると想定されます。特に、今まで手計算でされていた方に影響がある制度となります。そのため、制度が始まる前に給与計算ソフトの導入を検討されることをお勧めします。また、所得税は賞与支給時にも控除必要となる点も留意が必要です。
7 最後に
その他多くの留意点がありますが、今回は主要な点を抜粋してご紹介しました。
個別具体的な確認などは顧問税理士にご相談ください。